久米田 授 「静寂」

久米田 授 「静寂」

『兆し』

いつもと同じ夜。しっとりと降る雨の音だけが、ただ聞こえていた。
ふと、街の喧騒が途切れたかと思うと、
まわりの景色が闇に包まれたように感じた。

漆黒の闇だった。
ほかの人たちはそのことに気づいていないのか。
いや、自分以外の人の気配は付近には感じられない。

なんということだ。
いよいよその刻が来たのだ。

この世界と、虚無の向こう側にある太古の神々が棲む世界とを繋げる門が、
人知れずに開かれるその刻が・・・。

異形の彼らは音もなく、そっと此方にやって来るのだ。
まるで人々の営みをあざ笑うかのように。

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